タテがきOffice ―For 日本文学研究者・国語の先生

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漢文の入力の仕方【応用編】(再読文字)

前回の漢文の入力の仕方【初級編】では、フィールドコードの中に返り点を組み入れる方法をお伝えしました。

今回は、再読文字の入力時に必要な、ルビを左側につける方法をお伝えします。

 

フィールドコードの説明

まず、前回省略した、フィールド内の記号(コード)の意味から説明します。

フィールドの開き方は、前回もお伝えしましたが、[Shift]+[F9]、もしくは、右クリック→[フィールドコードの表示/非表示]です。

 

具体例を示します。

f:id:nokibano:20160123000504j:plain{EQ \* jc2 \* "Font:MS 明朝" \* hps10 \o\ad(\s\up 9(ねこ),猫)}

半角の「¥」半角逆スラッシュ「\」に表示されることもありますが、同じ意味です。

 

このコードの意味を説明します。

{EQ  }

フィールドの範囲内であることを意味します。

この中の「コード」に当たる部分は基本的に半角英数字を使います。

スペースも同様に半角です。

 

「\o」

重ね文字、という意味。これで文字の横に文字を記すことができます。

 

「jc2」と「\ad」の部分

ルビ設定画面の「配置」と関係しています。

これは、デフォルトの「均等割り付け2」。

このデフォルトも変更できるようにしてほしい…。

次のように変更できます。

  • 「jc0」+ナシ=中央揃え
  • 「jc1」+「\ad」=均等割り付け1
  • 「jc2」+「\ad」=均等割り付け2
  • 「jc3」+「\al」=左揃え(「l」は「left」の「l」)
  • 「jc4」+「\ar」=右揃え(「r」は「right」の「r」

 

「"Font:MS 明朝"」

フォント。ここを変えると、ルビのフォントを変えられます。

ただし、文字自体(「ねこ」)のフォントを変更する方法でも、変更できます。

 

「hps 10」

フォントサイズ。ただし、ルビはこの数字の1/2であることを意味しています。「10」のときは、ルビのフォントサイズは「5pt」。「hps 20」にすると、ルビのフォントサイズは「10pt」になります。

 

「\s」

上付き or 下付きの意味。

「\s\up」が上付き(縦書きの場合はルビが右に付くこと)を示します。

「\s\do」が下付き(縦書きの場合はルビが左に付くこと)を示します。

「do」は「down」の「do」です。

つまり、これを利用すれば、左にルビをつけられるわけです。

 

「\s\up 9(ねこ),猫」の「9」

文字からの距離。つまり、これを変更すれば、文字とルビの距離を変更できます。

そのあとの半角括弧がルビの文字。コンマして、「猫」が元の文字です。

 

意味がわかれば、割といろんな活用ができると思います。

ルビを全て右揃えにするとか、ルビのフォントサイズを全て変更するなど、一括で変更したい場合は、全置換を使うとよいです。

因みに、[Alt]+[F9]を押すと、ファイルの中の全てのフィールドコードの表示・非表示を切り換えることができます。

 

再読文字の入力

次の漢文「未だ学を好む者を聞かざるなり。」の「未だ~ざる」の部分を例に、左付ルビをお伝えします。

今回は、ふりがな(「いま」と「ざ」)付きです。

f:id:nokibano:20160212014016j:plain

1. 白文→ルビ(ふりがな・送り仮名)→返り点を入力する。

しつこいですが、コンスタントに入力する方法は、前回の【基礎編】をご参照ください。

ルビはすべて「左揃え」で設定した方が、後の設定が編集しやすいです。

生徒に配布するプリントなどを作る場合は、最初に白文のフォントを大き目(13pt~16ptくらい?)にしてからルビ設定を行う方が簡単にできます。

 

2. 「未」を選択し、[Shift]+[F9]を押して、フィールドを開く

フィールドの内部は以下のように書かれています。

{EQ \* jc3 \* "Font:MS 明朝" \* hps10 \o\al(\s\up 9(いまダ),未)}

※「いまダ」の部分は、5ptのフォントサイズで表示されています。

 

3.  「\o\al」の後のカッコ内に、左付ルビの設定を入力する

…\o\al(\s\up 9(いまダ),未,\s\do 8( ざル))}

というように、コンマをつけた後、左付(横書きなら下付)のルビ設定を入力します。

上記したように、「\do」は「down」の意味です。

「\do」の後には半角スペースを入力します。

今回は、元の文字(「未」)とルビの間の距離を「8」としましたが、フォントサイズによって変わるので、どのように表示されるか確認しながら調整してください。

「 ざル」は、「いまダ」と同じフォントサイズにしたいので、ここでは「5pt」にします。これは「 ざル」を選択して調整してください。

ちなみに、ふりがなの「ざ」を「未」の左真ん中に置きたいので、「ざ」の前に半角スペースを挿入しています。

こんな感じです。

f:id:nokibano:20160212020740j:plain

前回お伝えした方法を使って、「未」の下のレ点(「レ」の下付)もフィールド内に入れています。

因みに、「\o\al」の後のカッコ内で、コンマで区切っていれば、どの位置に左付ルビの設定を入力してもOKです。

f:id:nokibano:20160212021334j:plain

f:id:nokibano:20160212021539j:plain

 

4. [Shift]+[F9]を押して、フィールドコードを非表示にする。

これで完成です。

 

ふりがなナシだとこんな感じ(↓)です。

f:id:nokibano:20160212022547j:plain

ルビは「左揃え」で、それぞれ全角スペースの後に送り仮名(「ニ」と「シ」)を入力しています。

 

これができるようになれば、教科書のような漢文の入力もできるかと思います。

ではまた。

 

nokibano.hateblo.jp

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