漢文の入力の仕方【応用編】(再読文字)
前回の漢文の入力の仕方【初級編】では、フィールドコードの中に返り点を組み入れる方法をお伝えしました。
今回は、再読文字の入力時に必要な、ルビを左側につける方法をお伝えします。
フィールドコードの説明
まず、前回省略した、フィールド内の記号(コード)の意味から説明します。
フィールドの開き方は、前回もお伝えしましたが、[Shift]+[F9]、もしくは、右クリック→[フィールドコードの表示/非表示]です。
具体例を示します。
{EQ \* jc2 \* "Font:MS 明朝" \* hps10 \o\ad(\s\up 9(ねこ),猫)}
※半角の「¥」が半角逆スラッシュ「\」に表示されることもありますが、同じ意味です。
このコードの意味を説明します。
{EQ }
フィールドの範囲内であることを意味します。
この中の「コード」に当たる部分は基本的に半角英数字を使います。
スペースも同様に半角です。
「\o」
重ね文字、という意味。これで文字の横に文字を記すことができます。
「jc2」と「\ad」の部分
ルビ設定画面の「配置」と関係しています。
これは、デフォルトの「均等割り付け2」。
このデフォルトも変更できるようにしてほしい…。
次のように変更できます。
- 「jc0」+ナシ=中央揃え
- 「jc1」+「\ad」=均等割り付け1
- 「jc2」+「\ad」=均等割り付け2
- 「jc3」+「\al」=左揃え(「l」は「left」の「l」)
- 「jc4」+「\ar」=右揃え(「r」は「right」の「r」)
「"Font:MS 明朝"」
フォント。ここを変えると、ルビのフォントを変えられます。
ただし、文字自体(「ねこ」)のフォントを変更する方法でも、変更できます。
「hps 10」
フォントサイズ。ただし、ルビはこの数字の1/2であることを意味しています。「10」のときは、ルビのフォントサイズは「5pt」。「hps 20」にすると、ルビのフォントサイズは「10pt」になります。
「\s」
上付き or 下付きの意味。
「\s\up」が上付き(縦書きの場合はルビが右に付くこと)を示します。
「\s\do」が下付き(縦書きの場合はルビが左に付くこと)を示します。
「do」は「down」の「do」です。
つまり、これを利用すれば、左にルビをつけられるわけです。
「\s\up 9(ねこ),猫」の「9」
文字からの距離。つまり、これを変更すれば、文字とルビの距離を変更できます。
そのあとの半角括弧がルビの文字。コンマして、「猫」が元の文字です。
意味がわかれば、割といろんな活用ができると思います。
ルビを全て右揃えにするとか、ルビのフォントサイズを全て変更するなど、一括で変更したい場合は、全置換を使うとよいです。
因みに、[Alt]+[F9]を押すと、ファイルの中の全てのフィールドコードの表示・非表示を切り換えることができます。
再読文字の入力
次の漢文「未だ学を好む者を聞かざるなり。」の「未だ~ざる」の部分を例に、左付ルビをお伝えします。
今回は、ふりがな(「いま」と「ざ」)付きです。
1. 白文→ルビ(ふりがな・送り仮名)→返り点を入力する。
しつこいですが、コンスタントに入力する方法は、前回の【基礎編】をご参照ください。
ルビはすべて「左揃え」で設定した方が、後の設定が編集しやすいです。
生徒に配布するプリントなどを作る場合は、最初に白文のフォントを大き目(13pt~16ptくらい?)にしてからルビ設定を行う方が簡単にできます。
2. 「未」を選択し、[Shift]+[F9]を押して、フィールドを開く
フィールドの内部は以下のように書かれています。
{EQ \* jc3 \* "Font:MS 明朝" \* hps10 \o\al(\s\up 9(いまダ),未)}
※「いまダ」の部分は、5ptのフォントサイズで表示されています。
3. 「\o\al」の後のカッコ内に、左付ルビの設定を入力する
…\o\al(\s\up 9(いまダ),未,\s\do 8( ざル))}
というように、コンマをつけた後、左付(横書きなら下付)のルビ設定を入力します。
上記したように、「\do」は「down」の意味です。
「\do」の後には半角スペースを入力します。
今回は、元の文字(「未」)とルビの間の距離を「8」としましたが、フォントサイズによって変わるので、どのように表示されるか確認しながら調整してください。
「 ざル」は、「いまダ」と同じフォントサイズにしたいので、ここでは「5pt」にします。これは「 ざル」を選択して調整してください。
ちなみに、ふりがなの「ざ」を「未」の左真ん中に置きたいので、「ざ」の前に半角スペースを挿入しています。
こんな感じです。
前回お伝えした方法を使って、「未」の下のレ点(「レ」の下付)もフィールド内に入れています。
因みに、「\o\al」の後のカッコ内で、コンマで区切っていれば、どの位置に左付ルビの設定を入力してもOKです。
4. [Shift]+[F9]を押して、フィールドコードを非表示にする。
これで完成です。
ふりがなナシだとこんな感じ(↓)です。
ルビは「左揃え」で、それぞれ全角スペースの後に送り仮名(「ニ」と「シ」)を入力しています。
これができるようになれば、教科書のような漢文の入力もできるかと思います。
ではまた。